結婚祝いのお返し(結婚内祝い)ののし(熨斗)の書き方・表書きは「寿」?「御礼」?名前はどう書く?
結婚内祝いにかける熨斗(のし)の選び方・マナー
入籍・結婚には、これまでに経験したことのないイベントが次々に待ち受けているものです。結婚式や新婚旅行の準備も去ることながら、夫婦がお世話になっている方とのお付き合いの機会も格段に増えるものです。家族、親戚、それぞれの友人、職場の方達、地域によってはご近所さんまで。祝福の言葉のみならず、結婚のお祝いを贈られることも、珍しくありません。そんな結婚祝いをもらった際、欠かせないのが「内祝い」と呼ばれる、お返しの品の手配です。お祝いにいただいた内容によって品物を選ぶことも大切ですが、その贈り方にもいくつかマナーが決まっているもの。今回は、内祝いにかける熨斗(のし)のマナーについてご紹介します。
「内のし」と「外のし」どちらにすればいい?
熨斗の掛け方には、大きく分けて2種類の方法があります。一つ目は、贈り物となる商品(贈り物)に熨斗を掛けてから、さらに包装紙で外側を包む「内のし」。もう一つは、包装紙で包まれた商品に熨斗を掛ける「外のし」と呼ばれる包みかたです。最近では、ギフト専用サイト等を経由して郵送で内祝いを選ぶ方も増えていて、この場合、外のしを選ぶと「輸送中の汚れ・傷が心配」「個人情報である夫妻の名前が多くの人目に触れるのが嫌……」という懸念もあり、内のしが最適とされています。一方で、贈り物を直接手渡しする場合には外のしを選んでも構いませんが、その他の場合には内のしで贈ることが無難でしょう。
結婚内祝いの水引の選び方
慶事で使用される熨斗紙には、一般的に水引の絵柄が印刷されています。この水引の種類も大きく分けて4種類あり、お祝いの種類によって水引が使い分けられています。例えば、入学、新築祝いなど何度も繰り返しても良いお祝い事は、結び目を何度も結び直せるという意味から、紅白蝶結びの水引が使用されます。反対に、例えば快気祝い、病気のお見舞いなど「二度と繰り返して欲しくない」というお祝いには、紅白結び切りの水引が選ばれます。また、婚礼に関わるシーンでは、他のお祝い事と異なって10本の水引が使用されます。このように水引の種類や本数にも意味があるため、内祝いの熨斗紙には、10本の水引が結び切りの姿で印刷されたものを選びましょう。
結婚内祝いの熨斗の表書きの書き方
熨斗紙の包みかた、水引の種類を選んだあとは、熨斗の書き方について紹介します。熨斗に印刷されている水引の上に記入する内容は「表書き」と呼ばれます。かつては贈り物を渡す際に、贈り物の中身についての品目名を連ねた目録を添えて贈る習慣がありました。現代ではこの目録が簡易化されて、熨斗の表書きが目録の役割を果たしています。水引が掛けられている(印刷されている)線を境として、上段、下段それぞれに表書きの言葉を記入します。
表書きは「内祝」または「寿」と書く
続いては、表書きに記載する言葉の選び方についての解説です。表書きには、品物を贈る目的を簡潔に記します。結婚内祝いの場合には「内祝」または「寿」の文字を記載することが一般的です。結婚式当日に引き出物として渡す場合には「寿」、挙式とは別日に渡す贈り物には「内祝」と表記される場合が多いです。このような表書きの名目欄については、あらかじめ印字された熨斗紙も販売されています。また、店舗で包装をお願いした際には、熨斗紙をつけてもらう前に「表書きの名目は、どのようになさいますか?」と確認される場合が多いので、その際には「寿でお願いします」「内祝と記入してください」と指定しましょう。
正しい表書きの書き方・筆もしくは筆ペンで書く
表書きに記入する際の文具にも、配慮が必要です。まず、熨斗紙へ手書きで文字を記入する場合、正式なルールでは毛筆や筆ペンを用いることとなっています。特に毛筆で手書きすることが最も格式高いとされていますが、毛筆に使い慣れていない方、墨をするのが大変という方は、筆ペンでも構いません。ただし、ボールペンや万年筆では、やや事務的という印象をもつ方もおられるため、自宅に熨斗紙へ記入するための文具を揃えておくと便利でしょう。
正しい表書きの書き方・墨の色が濃くはっきりとしている
毛筆、筆ペンを用いる際にも、墨やインクの色に注意しましょう。日本のしきたりでは、慶事と弔事とシチュエーションによって墨(インク)の色を変えるというマナーがあるため、贈り物のシーンに沿った文具を選ぶ必要があるのです。薄墨と呼ばれるインクは「涙で墨が薄まってしまった」「慌てて駆けつけたので、墨をする時間がなかった」という意味を表しており、弔事で使われています。おめでたい事柄を表す結婚内祝いのような場合には、しっかりと濃い色の墨やインクの文具を選びましょう。
結婚内祝いの熨斗の名前の書き方
熨斗に欠かせないのが、表書きの名目に加えて、下段にくる贈り主の名前についてです。名目までは熨斗に印刷して売られているものの、名前は自前で記入という場合も少なくありません。また、ギフトショップなどで商品を購入した場合には、オプションサービスで熨斗の印刷を扱っていることもありますが、どのような内容を印字してもらうか回答する必要があります。このような場合に備えて、名前の書き方についても覚えておきましょう。
二人の名前を書く
熨斗紙の上段に名目を書いた次には、下段に贈り主の名前を記入します。名前の書き方には、大きく分けて2種類の方法が用いられます。一つ目は、新郎新婦の「名前のみ」を記入する方法です。二つ目は、新郎新婦の「名字と名前」を両方記入する方法です。この場合、名字は二人の本姓として、入籍後に二人が使用する名字を選びます。新婦が新郎の戸籍に入る場合には、新郎の名字をふ下段中央に書き、さらにその下に新郎と新婦の名前を記入します。新郎の名前を右側、新婦の名前を左側に記入することが一般的とされています。
旧姓を書くのは避ける
「旧姓で付き合ってきた友人が、誰からの贈り物か分からない」「今後も職場では旧姓で仕事を続けるから……」など、旧姓で内祝いを届けたい場合もあることかと思います。しかしながら、内祝いの熨斗に関するルールでは、現在の正式な本名である「新しい姓」を書くことが原則となっています。そのため、内祝いで旧姓を使いたい場合には、郵送する際の送り状や、内祝いの品に同封するお礼状に旧姓を書くなど、熨斗とは違う所で旧姓を伝えるようにしましょう。結婚を祝福してくださった方へ感謝を伝える、内祝いの贈り方。マナーを守って、感謝の気持ちが伝わる贈り物をお届けくださいね。